スリランカツーリング 後編 その1

スリランカツーリング その3
後編
第8日 Pelmadulla →Deniyaya
 クーラーを付けっぱなしで寝たせいか喉がイガイガする。イトー氏は風邪をひいたらしい。今回のツーリングでは珍しくクーラー部屋。つい嬉しくて調子に乗って使いすぎた。この日はまた1000m近くまで登り返さなくてはならない。Bulutota峠を越えなくてはならない。A18のよく舗装された道を進むとMadampeの分岐が現れた、左はEmbilipitiyaを通ってAmbalantotaへ通じている。こちらの方へも行ってみたかったが、時間の関係で右Deniyayaを通ってGalleへ通じる道A17を行くことにしたが、またしても不安になるような細い道が続いていた。しかもここからは峠道である。しかし進むしかない。とりあえず木陰で休憩をとることに。すると通りすがりのおじさんが話しかけてきた。
「Your country?」
「Japan!」
「Oshin!Oshin!」
「おしん」というドラマはスリランカで流行ったらしい(私は観たことがない)。おじさんは「日本人なのに『おしん』を知らないのか」と言わんばかりの顔をしている。しばらく「Oshin」の話が続いた。
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地元のガキンチョ
長い休憩のが終わり、さっそくキツイ勾配が現れた。すぐに蒸し暑くて我慢できなくなり、近くの小沢で水を頭からかぶってリフレッシュ。しかし登りは続く。
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日本であれば何ともない登りだが、暑さと湿気で余計に体力を消耗してしまう。イトー氏は風邪気味でつらそうだ。一時間以上走っただろうか、ようやく分岐から一つ目の町Rakwana に到着。しかし地図を見て愕然とした。時間の割には距離を全く稼げていないのである。日の入りまでに峠を越せるか心配になってきた。標高を上げるにつれ気温は下がり、紅茶畑が現れた。茶摘みを終えた女性が大量の茶葉を背負って道を歩いていた。さらに高度を上げると鬱蒼としたジャングルが現れた。疲労もピークに差し掛かっていた。イトー氏の気分が優れないため道端で休んでいると。通りすがりのスリランカ人が色々心配してくれた。「問題はないか、トラックの荷台に乗せてやるよ」とか「何か手伝わせてくれ」とか、さらにはバナナを恵んでくれる人もいた。スリランカ人って優しいんだな。そんなこんなで何とか峠の町、Suriyakandaに到着。
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ホット一息つきたいところだが、小さな町なのにチェックポイントがあり、何だか殺伐としている。町の人に聞くと食堂は無いらしい。気付くとタミル人のおじさん寄ってきて「I’m Tamil, I’m Tamil」としきりに言ってくる。飲み干したジュース瓶を片づけてくれたりと色々してくれた(ちょっとしつこかったけど)。最後に小さな紙切れを渡された。何やら文字が書いてあるが、読めない。このおじさんは何かを伝えたがっていたが、いかんせん言葉が通じない。いったい何と言っていたのだろう。
昼食はジュースとビスケットで済ませた。ここからはいよいよ下りである。山の斜面を這うように走る道を進んだ。眺めがいい。紅茶畑、ゴム園を通りだんだん山々に険しさがなくなってきた。
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目標の町Deniyayaまであとすこし。と思ったとき、雨がポツリポツリ降ってきた。このツーリングでは最初で最後の雨である。幸い雨雲は逸れて行きスコールに合わずに済んだ。この日はDeniyayaのゲストハウスに宿泊。英領時代の古い建物で眺めがよかった。二人部屋にしては天井が高く広い。よく手入れがされていてきれいだった。
しかしトイレに蟻が大量発生していて、さらに特大サイズの蜘蛛(直径10cmくらい。少し毛が生えている)がへばりついていた。蜘蛛恐怖症候群のナガシマは一瞬にして背筋が凍りついた。蜘蛛を何とも思わないイトー氏もさすがに狼狽した。宿の人に頼んで捕まえてもらい、外に逃がしてやった。夕食はもちろんカレー。食べ終わると自然と眠くなり、爆睡した。なんて健康的な生活。
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第9日目 Deniyaya~Galle
 宿からはちょうど谷を挟んで反対側の稜線が見える。朝靄の中に浮か紅茶工場、山腹に点在する民家が何とも美しかった。この日は高地ともいよいよお別れである。そして海へと向かう。二車線の良く整備された道を下り、ぐんぐん高度を下げる。それとともに再びあの暑さが戻ってきた。
Akuressaという町で休憩を取っていると、通りすがりの人から声をかけられた。話を聞くとその人は10年以上前、近くのSamanalawewaダムの建設に日本の建設業者と共に参加したという。今はこの町で電気技師として働いているらしい。日本に縁があるということでココナッツジュースを3つおごってくれた。たまたま会った通りすがりの日本人に気さくに話しかけ、ジュースまでおごってくれるこの国の人のホスピタリティーには感激した。
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 昼飯は国道沿いの茶店でエラワル・ロティ(カレー味で炒めた野菜などを小麦粉とココナッツからなるクレープ状のもので三角形に包んだもの。辛い。)をうるさいくらいにスリランカンな音楽が流れる中で食べた。日が少し傾いたころ、ようやくゴールに到着した。さっそく宿探しをした。ここは旧市街が丸ごと世界遺産に登録されており、せっかくなので世界遺産の中に泊まることにした。旧市街を走りまわって見つけた宿はオランダ植民地時代に建てられた古い屋敷を改装したゲストハウスで、南国らしい小じんまりしたものだった。オーナーも親切で中庭を取り囲むように部屋が配置され、ゆったりとした時間が流れていた。が、あいにく停電中で扇風機が動かず、風邪気味のイトー氏は苦しそうだった。
また夜には大量の蚊が飛び回り、蚊帳に穴が開いていたせいもあり、残念ながら快眠はできなかった。
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第10日目 Galle
世界遺産Galle旧市街を観光。この街は始めポルトガルが砦を築いたことから欧米人の支配がはじまり、オランダ、イギリスに支配された。現在は比較的オランダ時代の建物が残っており、往時のたたずまいを今に伝えている。2004年のインド洋大津波ではGalle新市街は壊滅的なダメージを受けたそうだが、旧市街は堅固な砦によって囲まれているため、被害は殆ど受けずに済んだらしい。小さな町だが都市としての機能はそれなりにそな合わっている。銀行、博物館、学校、警察署、裁判所、郵便局、教会、寺院、行政府などがあった。そしてそれらが皆百年以上も前に建てられた建物をそのまま使っているのである。日本ではまず考えられない。もちろんここは観光地なので、商売気盛んな客引きがまとわりつて来る。しかしスリランカの客引きはそこまでしつこくない。「いらない」と言えば意外とあっさり客引きのほうが諦めてしまう(イトー氏によればタイから比べればスリランカは相当ラクらしい)。
 観光客の多くは欧米人だが、日本人の団体旅行者もいた。日本人はすぐにわかる。まずカメラは必ず肩あるいは首から下げている(イトー氏は他国の観光客はカメラを手に持っていることが多いと分析していた)。そして群れている。さらには時間を気にして急ぎ足で観光している。自由に旅行している身からすればそんなに焦らなくてもいいのにと、言いたくなってしまうのだ。また同じ日本人ではあるのだが、なぜか近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。わざわざその団体が去るのを待ってから観光するほどである。
 炎天下の中を歩き回ると通常の二倍はエネルギーを消費する。路地裏に隠れ家的なレストランを見つけたのでそこで昼飯を食べた。ここのオーナーは僕たちが日本人であると分かると、急に気さくになり、何やら奥の方から色々出してきた。聞くところによると20年近く前に愛知県のとある工場で働いていたという。アルバムや色紙などを見せてくれた。日本に縁がある人がこれほど多くいるとは。意外だった。
 
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スリランカの自転車。かなりの年季が入っている。でも大事に使ってます。
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午後はまた市内をぶらつき、見るところを一通り見つくした所で宿に帰った。小さな町なのでそれほど移動距離は無かったのだが、ベッドに横たわるとどっと疲れが出てきた。廊下で、ガイドブックを読んだり、庭を見たりリラックスした。夕焼けが綺麗になったころ海を見に行くと、太陽が将に海に沈むところだった。美しすぎる。この夕日を見ているとすべてから解放されたような、リセットされたような、そんな気分になった。
この日は夕方蚊が湧いてくる前に窓を閉めたり、蚊取り線香を焚いたりしたので蚊にはそんなに悩まされることなく安眠できた。
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夕暮れのGalle

スリランカツーリング 後編 その1」への2件のフィードバック

  1. 一十

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    投稿Thanks
    スリランカ行って、1ヶ月経ったが、金が無いのにまた海外に行きたくなってしまった

    返信

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