ピーキーな話

マウンテンバイクを始めて知った「ピーキー」という言葉。

自転車の世界では
「フロントアップがピーキー」
「ハンドリングがピーキー」などと言って
操作域が狭く絶妙に扱わないと挙動が暴れてしまうという意味で使う言葉かと思います。

ただし、本来は自動車のエンジン特性に限定して使われる言葉だったそうで、エンジンの回転数がピーク付近のときに強いトルクを発生する高回転型エンジンの特性のことを言うものだったそうです。

低い回転数ではトルクが弱く、スタート時にエンストしやすい、走行中にハイギアにシフトミスをして回転数が落ちると極端に加速しにくくなるなどの特性があり、エンジンの回転数と発生するトルクを折れ線グラフで表したところ、高峰のようなグラフになることからピーキー(peaky)という表現が生まれたのだそう。(wikiより)

それが、「挙動が神経質で、ある限定的な範囲では非常に高い性能を発揮するが、その範囲外の場合は操縦性が低い」ハンドリングやタイヤ特性を表現する形容詞として使われるようになったらしいです。

 

 

 

この前のピョンチャン五輪で悔しくもジャマイカの代表チームに、大会直前になって採用却下され話題になった「下町ボブスレー」の裏話に迫る番組をみました。

4年前のソチ五輪ではあと一歩のところで日本代表から不採用を宣告されるも、メゲずにターゲットを世界に向けジャマイカとの契約を獲得し、大田区の町工場が集結して8年かけてソリを作り上げたといいます。

再三の苦労が実らず、プロジェクトの代表者が会見で悔しさとも怒りとも言いがたい表情をしていたのが印象的でした。

 

ところで、
番組を見た限りではこの下町ボブスレー、ひとえに「性能が良くなかったから採用されなかった」という話ではどうやらなさそう。

テスト走行では他社のボブスレーを凌ぐタイムを出すも、五輪直前のレースから何故か下町のソリはジャマイカチームから使われなくなります。

腑に落ちないソリの設計者はジャマイカの選手にソリのどこが問題なのか聞き込みます。
「下町のソリは、最高速度は速いかもしれないけど、そこからちょっとずつスピードが落ちてしまうの。BTC(ラトビア製のソリ)はたとえ私が操縦ミスをしても速度があまり変わらないのよ。」

さらに細かく話を聞こうとすると、

「私たちはソリを作っているわけじゃない。パイロットなのよ。いいソリか悪いソリかしか分からないわ。ソリのことはメカニックに聞いてよ。
あなたはソリに乗ったことがないでしょう。まずはその経験が必要ね。
それとボブスレーを知っている人の話をもっと聞きなさいよ。」
ジャマイカの監督が怒りをあらわにします。

そこで設計者は、元ボブスレーの五輪選手で現在はボブスレー専門のエンジニアにソリの問題を確かめてもらいます。その人は、
「反応がいい。小回りが利くのでインコースを滑ることができる。」
「ハンドルが敏感なので操縦を誤ると危ないかもしれない」
「それだけハイテクなソリだということ。いいソリだよ。」と言います。

下町のはピーキーなソリだったと言えると思います。
直後、挙動が安定するように急ピッチでソリの改良をしますが、ソリは大きく蛇行しながらコーナーを走り、結局ジャマイカ選手の要求に答えることはできませんでした。

 

140km/hでコーナーに侵入するボブスレーのソリは、ヨーロッパの一流車メーカーが開発するほどです。

町工場は世界に誇る金属加工技術と持つも、工業製品としての精度の高さが、スポーツ機材としての性能の良さに直結する訳ではないところが面白いと感じました。

 

(採用されなかったウラには組織がらみの話もあったようですが….)

 

 

いやはや、身体技能と機械工学を高次元で両立させることを目指す点では自転車と共通だな。
その深みを個人単位で味わえる自転車ってやはり楽しい。
とテレビを見ていて思いました。

 

 

サークルには多様な学部、学科の部員が在籍していますが
共通しているのは自転車が好きだということ。
それでいて自転車の見かたは個々で異なること。1つの事柄を多方面から話すのはとても面白いと思います。

なんて書いて新入生が読んでくれていたらな、などと思っているわけです。
ちなみに最近のわたくしの夢は10年後くらいに自分の自転車を設計して、図面を持ってどこかで作ってもらうまたは自分で作るということです!

byおうた

ピーキーな話」への3件のフィードバック

  1. おーた

    いいえいいえすいません
    ブロガーありかも。。

    卒業してしまいました
    たくさん山連れて行ってくれてありがとうございました

    返信

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